【映画紹介】夢を叶えるまでの労力は苦労でも苦痛でもない。クライマックスを迎えるまでの快楽の時間だ!
『世界最速のインディアン』(原題:The World Fastest Indian)は、オートバイの世界最速記録を夢見たライダー、バート・マンローの挑戦を描いた実話ベースの映画です。
63歳という年齢で世界最速記録へ挑む主人公バート・マンローのひたむきな姿と、彼に魅了された人々との人間味溢れるエピソードが描かれています。
夢は叶うと気づいた時から、困難を辛いと感じないメンタルが生まれる。
夢を成し遂げた成功者たちのエピソードやインタビュー記事などを目にすると、挑戦者として努力することの大切さや素晴らしさなどが語られることが多いです。
ですが、時間的な問題・金銭的な問題・時代背景など、さまざま現実がハードルになり、無難な人生を選ぶことのほうが圧倒的に多いと思います。
そのほうが賢い選択だと見られても不思議ではありませんし、不安も少ないですよね。
しかし、本気で夢を追いかけ、自分の夢は必ず叶うと確信してしまった時、その人にとって現実的な問題など眼中にも無くなります。
ただただ夢の実現というゴールに向かって走り続けるという自己暗示的なゾーンに入っていくのかも知れません。
夢に向かって後先を考えずに突き進む姿は “狂人” や “ビックマウス” などと呼ばれる事もあると思いますが、そんな声も夢の実現を確信してしまった本人にとっては小さな雑音ですら無いのでしょう。
作品の中で「夢を追わない人間は野菜と同じだ」というバートの言葉があります。
彼にとって夢を追うことは当然のことで、それを諦めるような人生などありえなかったのです。
小屋のようなガレージに住み、バイク中心の生活を送るバートの暮らしぶりは、質素で不自由にも見えます。しかし、彼にとってそんな事は大した問題ではなかったはず。
夢を見据えて生きる彼にとっては、そんな障害でさえも “夢見る時間” の一部に過ぎず、すべてが夢に向かうまでのプロセスであり快楽の時間だったのではないでしょうか。
世界最速のインディアン(原題:The World Fastest Indian)
若さもカネもなし。
あるのは1台のバイクと、生涯をかけた夢。
日本では2007年に公開された作品です
ニュージーランドの田舎町で暮らす主人公のバート・マンローは、愛車の1920年型インディアン・スカウトで世界最高速を目指してテストランを繰り返していた。
アメリカのボンネビルで開催される大会で “世界最速記録” を叩き出すことが夢だった。(ボンネビルとは、世界最速を競う会場の地名。)
質素な彼は自作の部品などで試行錯誤を繰り返し、夢の実現に向かって生きていた。
すでにオーストラリアとニュージーランドの記録保持者だった彼にとって “世界最高速” は25年間あたため続けた夢だった。
バイク好きの変わり者だったバートだが、彼を慕う友人は多かった。
友人たちは彼の夢のために経済的な支援などもしていた。
しかしそれは彼の “夢に向かう想い” に集まった資金であり、彼の成功を信じる者などいなかった。残念ながら、バートの挑戦を “良き想い出” として残してあげようという気持ちのほうが強かったのかも知れない。
なんとか資金を集めアメリカに渡ったバートだったが、少ない資金で挑戦する彼に幾つもの不運が重なる。その度に、彼の少年のような純粋さに惹かれた新しい友人たちが手を差し伸べ、彼は少しずつ夢に近づいて行った。
ボンネビルの会場に集まった挑戦者たちが最新型のバイクで参加する中、バートの愛車は家庭用品などまで使って仕上げたポンコツバイク。
彼は完全に浮いていた。勘違いした爺さんのような扱いを受け、門前払いにされかけた。
それでもバートは自分の純粋な思いをぶつけた。
25年もの間、ずっと夢見たボンネビル。何としてでも参加して“世界最速”の称号を手に入れたかった。
「せっかく遠くから来たんだ、出してやろう。気の毒じゃないか」
会場スタッフもバートの気持ちを理解し、出場が許可された。
熱い思いが伝わり、なんとか出場に漕ぎつけたバート
彼の存在は、いつの間にか参加者たちの注目を集めていた。
「よし、行こう!」
仲間たちが見守る中、バートはスタートを切った
「頑張れよバート!」「行け!頑張れ!」
1920年型インディアン・スカウト
愛車に跨がった彼は、ボンネビルの彼方に向かってアクセルを全開にした。
監督・出演者
【監督】ロジャー・ドナルドソン
【出演】アンソニー・ホプキンス ジェームズ・マーフィ クリストファー・ケネディー・ローフォード クリス・ウィリアムズ 他
▼世界最速だけを見据えたバートにとってはオートバイがすべて。
小屋のようなガレージ兼自宅で質素に暮らしていた。
▼少し変わり者のバートだったが、支援者も多く資金面での協力もあった。
▼長年抱いた夢を胸にバートはアメリカを目指す。
▼バートの人柄に惹かれ、アメリカでも仲間ができた。
▼会場でのバートは変人扱い 馬鹿にされていた
会場スタッフ「ひどいバイクだな タイヤにヒビが入ってるぞ」「ブレーキも無いのか?」
バート「心配するな 事故って困るのは俺だ^^」
周囲は次第にバートのペースに巻き込まれていく
▼ようやく出場に漕ぎつけたバート
長年の夢が実を結び、“世界最速”の称号は目前に迫っていた。
感想
バイクに興味が無い人にとっては「インディアン」と聞いてもアメリカの原住民のほうしか思い浮かばないと思います^^;
僕もこのバイクには縁が無いのですが、祖父が若い頃にインディアンに乗っていたという話を聞いていたので、「ちょっと観てみようかな…」という感じで観に行きました。
なので作品のストーリー的な部分にはあまり期待していませんでした。
しかし、バートの仕草や雰囲気に僕の祖父を思い起こさせる部分があり、さらにこれが実話だという事もあって段々と作品の世界に引き込まれました。
夢に正直に生き、それを達成させるバイタリティを持った生き方は人の心を惹きつけます。
ひたむきに夢を追う彼の姿とそこから溢れるエネルギーは、彼の魅力となって多くの人を巻き込み、そして心まで動かしたのかも知れませんね。
本人はもう亡くなっていますが、僕も会ってみたいと思うような魅力を感じました^^
また、自分の不運を時代や他人のせいにして逃げ続けるような弱々しい生き方が、いかに無駄で贅沢な人生なのだろうと思い知らされた気がします。
バートが油にまみれ試行錯誤するなか、時おり見せる創意工夫の精神は、モノ作りが好きな僕にはとても魅力的な姿です。
「何かあればその時考えれば良いだけの事」「まだ起きてもない問題に気を揉む必要はない」という懐の深さを感じさせる心構えにも魅力を感じました。
「自分もバートのようなジイさんになりたい」そう思わせてくれた作品でした。
作品のタイトルがいまいち地味なので見過ごしている人も多いかもしれませんが、
これは紛れもなく名作の1つです。
▼『世界最速のインディアン』を観た人の感想
■どんなに世の中を冷めた目で見ている奴だろうと、この映画は涙無しでは観れない
■体はボロボロのくせに心は少年で、夢をあきらめずに粘る姿勢が素晴らしい。
■年をとっても心は18歳。夢を追い続ける姿はとても若々しくパワーをもらえます。人生、まだまだだなって思えますよ。
■「100%だ。」「間違いなく、100%の映画だ」ということ。☆を減らす要素がない、とってもいい映画でした。
■「自分が何をしたいのかわからない」と迷う人、夢がなかなかな思うように進まなくて焦りを感じている人、一度見てみてください。
■できれば、もう一度劇場で、エンドロールが終わった後のあのなんともいえない幸福感に浸りたいものです。
■わざとらしい泣かせの演出など一切無いのですが、バートが記録を樹立するシーンではググッと来ます。
予告編
海外版と字幕版では使われているカットが違いますが、こういった違いも興味深いです^^
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ランダムハウス講談社
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いかがでしたか?
僕にとってバート・マンローの前向きな生き方は、多くの気付きを与えてくれました。
一人でも多くの方にこの作品を観ていただければと思っています。
今回は以上です!
ありがとうございましたm(_ _)m